ロードバイクの事故や落車の対応とは?応急手当、救急車要請について

みなさんこんにちは!

ロードバイクに乗っていて、周りの人が落車したらどうしたら良いんだろう・・・。

そんなふうに考えたことはありませんか?

もし人通りのない道路で友人と2人で走っている時に友人が落車したら、適切な対応が出来ますか?

とても不安ですよね。

現在ロードバイク人口が増えてきて、その分落車に遭遇する場面も増えていると思います。

アマチュアレースでも痛ましい死亡事故が起きてしまいました。

自転車レースで男性死亡 ゴール手前で接触転倒 沖縄・宮古島

そういった時の落車対応を学ぶ機会って、まだあまり無いんですよね。

横浜市消防局の実業団チーム、Far'sさんがサイクルセーフティサミットという講習会をしていましたが、首都圏で無ければなかなか受講出来ません。

私も今後、落車対応に特化した講習会を開きたいなと思っています。

さて、話が逸れましたが、今回はロードバイクにおける落車の対応について、私たち医療従事者(医師、救急救命士)の視点から以下の内容でお話ししたいと思います。

■まずは安全確認から

■意識の確認

■怪我の確認

■救急車って呼んだ方がいいの?

■あとで病院行こうかな?

■まとめ

まずは安全確認から

安全確認

落車が起きたら、まずは自分と周囲の安全確認から行いましょう

理由は、二次的な被害を防ぐためです。

落車した人のところへ慌てて駆け寄って、自分も車にひかれたりしたら怪我人が2名になってしまいます。

助けたい人を助けられなくなるのです。

ですので、まずは自分と周囲の安全確認を行ってください。

災害現場における安全確保で3Sという原則があります。

⑴Self(自分)

⑵Scene(現場)

⑶Survivor(怪我人)

この順番に安全を確保しましょうという原則です。

怪我人第一じゃないの?と思うかもしれませんが、先ほど述べたように自分まで巻き込まれてしまうと怪我人が増えるのと、最悪の場合助ける側の人がいなくなってしまうことになります。

みなさんもこの3Sに従って安全を確認してください!

動けるようであれば、安全な場所に移動しましょう。

意識の確認

倒れてる人

次に、意識の確認です。

怪我をした方が振り向かないような方向から近付き、首を動かさないようにしながら、

「〇〇さん」と名前を呼んで反応があるか確かめましょう。

反応が無かったり、意識がもうろうとしていたら大声で周囲の人に助けを求めて下さい。

そして、直ぐに救急車を呼んでください。

意識が無く、正常な呼吸をしていないようであれば直ぐに胸骨圧迫を行い、AEDがあれば準備して装着します。

胸骨圧迫やAEDの使用は心肺蘇生法になりますので、今は割愛します。また別の記事で書けたらと思います。

意識があればひとまず落ち着いて、怪我の確認へと移りましょう。

 

怪我の確認

怪我した女の子

次は、怪我の確認です。

目に見える出血や傷があれば、分かりやすいですよね。

出血量が多かったり、明らかに腕や足が曲がって骨が折れていそうな場合。または、本人が自力で動けないような状態の場合は直ぐに救急車を呼んでください。

そのような状態でなければ、本人の痛がっているところを聞いてください。

「どこが痛いの?」「動かさなくても痛い?」「動かすと痛い?」「押すと痛い?」

など、痛みの部位と痛み方を確認しましょう。

要注意ポイント!
首の痛みや、手足の痺れを訴えていたら、無理に動かさないで下さい。
頸髄損傷という危険があります。一度は聞いたことあるかもしれませんね。
簡単に言うと、首や背骨を通る神経が傷つき、ひどい場合は体が一生動かなくなってしまいます。
この場合も、すぐに救急車を呼んでください。

 

応急処置

ここで、出血に対する直接圧迫止血という方法と、打撲や骨折に対するRICEの処置というものを紹介します。

■直接圧迫止血

止血

読んで字のごとく、血の出ている部分をしっかり圧迫して(ギュッと押さえて)止血する方法です。

可能であれば、心臓より高い位置に持ち上げると、より効果的です。

救急隊の行う止血処置も、この直接圧迫止血が基本になります。

素手で血には触れないように、厚手のタオルやガーゼなどで血の出ている部分をしっかりと圧迫してください。

タオルやガーゼが無ければ、ジャージを脱いで折りたたんでも良いかもしれません。

止まったかな?と確認せず、救急車の到着まで圧迫しましょう。

もしくは自力で医療機関を受診する場合は、医療機関に到着して診察して貰うまで圧迫しましょう。

 

■RICEの処置

RICEの処置

RICEは打撲や骨折などの怪我に対して行う処置です。RICEとは、

・Rest(安静)

・Icing(冷却)

・Compression(圧迫)

・Elevation(挙上)

の略です。

無理に動かさないようにして、冷やして、かるく押さえて(止血の時とは違います)、心臓より高い位置に持ち上げる、ということです。

すべて行うのが難しければ、出来ることだけで構いません。

特に圧迫と挙上は、痛みがあったりすると難しいですよね。

出来ることだけで良いんです。

 

救急車って呼んだ方がいいの?

はてな

意識がはっきりしていて、怪我もそんなには大した事なさそう。。。

でも救急車って呼んだ方が良いのかな?それとも自分で病院に行った方が良いのかな?

みなさんが判断に迷う部分だと思います。

おさらいです。今までの内容で直ぐに救急車を呼んでくださいと書いたのは、

◇呼びかけても反応が無い、または意識がもうろうとしている。

◇出血量が多かったり、明らかに腕や足が曲がって骨が折れていそう。

◇本人が自力で動けない。

◇首の痛みや手足の痺れを訴えている。

この4点の場合は直ぐに救急車を呼んでくださいね。

それ以外で救急車を呼ぶかどうかの判断に迷った時、実は地域によっては相談ダイヤルがあるのをご存じでしたか?(無いところもあります)

#7119というダイヤルで、救急相談センターというところに繋がります。

そこで今の状態を伝えると、相談医療チーム(医師、看護師、救急隊経験者等の職員)が、24時間年中無休(※地域によっては24時間では無いようです)で対応しており、相談に乗って貰えます。

※令和元年7月1日現在の普及状況は、

◇都道府県全域

宮城県、茨城県、埼玉県、東京都、新潟県、大阪府、奈良県、鳥取県、山口県、福岡県。

◇一部実施

北海道(札幌市周辺)、神奈川県(横浜市)、兵庫県(神戸市周辺)、和歌山県(田辺市周辺)、広島県(広島市周辺)。

となっているようです。

普及推進されているので、今後は全国的に広まっていくと思います。

対応されている地域では、#7119を利用するのもよいでしょう。

では、対応していない地域ではどうするか?

答えは一つ、迷ったら救急車を呼ぶ!です。

判断に迷ったら、躊躇せずに救急車を呼んでください。そのための救急車ですよ。

救急車

あとで病院行こうかな?

救急車も呼ばなくて良い。とりあえず帰れそう。ひと安心ですね。

ですが、「あとで病院行こうかな?」と迷うこともあると思います。

その時は、痛みや何かしらの症状があれば迷わず受診してください。

自転車関係の保険や、携行品の保険に入っている場合も診断書が必要になったりしますしね。

ただ、いきなり病院を受診するのではなく、お近くの整形外科医院などの開業医さんを受診してくださいね。

病院は混んでいます。紹介状が無いと受診できないなんてパターンもあります。

まずは開業医さんで診てもらい、必要があれば病院へ紹介状を書いてもらうという流れが一般的です。

エマージェンシーカードを携帯しましょう

エマージェンシーカードってご存じでしょうか?

このように本人の情報をまとめたカードになります。

これがあると万が一の事故で周囲の人や救急隊員、警察官などが対応する際に役立ちます。

事故に遭うと意識を失ったり正常に話せないこともありますので、カードに記載して携帯しておくことをおすすめします。

貴重品と一緒に入れておくと見つけやすいと思います。

まとめ

自転車と救急車

簡単ではありますが、ロードバイクにおける落車の対応についてお話しさせて頂きました。

いかがでしたでしょうか?少しでも「ためになった」と思って頂けたら幸いです。

こうした記事だけですべてを伝えるのは難しく、これでもかなり省いた内容となっています。

それでもすべて覚えるのは大変ですよね?

だから、出来ることだけで良いんです。

「落車した人を助けたい」

そう思ってあなたが取った行動は、きっと手助けになっています。

自信と勇気を持って行動してください。

そして、こういった落車の対応を周りの方々にも広めてください。

落車は防ごうと思っても、完全になくすことは不可能です。

ですので、実際に落車に遭遇した時にみんなが適切な対応を出来るようにしていきたいですね。

ぜひシェアをお願いします。

また、気になる点やご質問などお気軽にコメントして下さい。

「もっとここを知りたい!」「こういう記事を書いて欲しい!」ってのももちろんOKです。

医療従事者の方から見たら、至らない点も多々あると思います。

そんな方からのコメントもお待ちしております。ご指導のほど、よろしくお願いいたします。

最後まで呼んで頂きありがとうございました!

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