皆さん、こんにちは!女医サイクリストのもえマグロです(*'▽'*)
今回は多くのサイクリストを悩ます「股ずれ」の治療についてご紹介します。
初心者の頃はロードバイクの高いサドルに慣れなくて、股ずれが起こることがありますよね。
さらに厄介なのが、初心者のみならず、熱心に乗れば乗るほどサドルに跨る時間が長くなるため、定期的にかつ慢性的に付き合わざるを得ないのもこの股ずれです。近年人気のインドアサイクリングでは長時間にわたり同じポジションで走るため、股ずれを助長します。
当サイトの記事でも特にアクセスの多いロードバイクの股ずれを防止するためのおすすめ皮膚保護クリーム6選!では、股ずれ予防法についてご紹介しています。
今回は股ずれが起こってしまった場合の治療法についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください(*^^)v
ロードバイクによる股ずれ治療の基本
1. 原因の除去
股ずれが起こる原因はサドルと股間周囲の摩擦です。特に運動中など汗をかいて皮膚が濡れているときに摩擦が起きると股ずれがひどくなりやすいです。
摩擦を減らせれば症状は改善します。摩擦を軽減するクリームを使ったり、ポジション調整やサドル/サイクルパンツ交換、時には自転車をお休みすることも必要でしょう。
2. 清潔に保つ
股ずれが起こりやすい股間周囲は、陰毛による蒸れ、陰部に多く存在するアポクリン汗腺からの分泌物、日々の排泄等によって、汚れが溜まりやすい場所です。汚れている場所は細菌が増殖しやすく、皮膚表面にできた細かな傷から細菌が入ると炎症が生じます。
トレーニング後は速やかにシャワーを浴びて服を着替える、股間を優しく洗い丁寧に流すことを心がけると良いでしょう。
3. 塗り薬による皮膚のケア
乾燥した皮膚は傷ができやすいので、普段から股周囲の保湿をしておくと良いです。
また、保湿すると傷が早く治ります。つまり、保湿剤は股ずれの予防にも治療にもなるんです!
股ずれがひどくなり細菌感染を伴っている場合は、抗生物質入りの塗り薬も有用です。
4. 炎症が強い場合は皮膚科受診がおすすめ
炎症が強いって言われても( ^ω^)・・・
と思ったそこのアナタ!ちゃんと判断する方法もお教えします。
炎症の4徴候がポイントです。「発赤」「熱感(触ると熱をもっている)」「腫脹(腫れている)」「疼痛(痛み)」の4つの症状のことです。
これらの特徴が当てはまり、症状がひどい場合は皮膚科受診をおすすめします!
症状に合わせた治療法を紹介
※説明をわかりやすくするために簡易的に軽症・中等症・重症を作りましたが、この分類は筆者独自のものになります。
1.軽症の場合
軽症の症状
- 皮膚がわずかに赤くなっている
- 乾燥してカサカサしている
- 細かな傷はあるがジュクジュクしていない
軽症の場合は保湿剤を使いましょう!
保湿剤であればなんでもOK。シンプルにワセリンでもいいと思いますが、私のおすすめはこちら。
TO-PLAN(トプラン) おこさまクリーム110g
無着色 無香料 低刺激クリームで、たっぷり110g!
皆さん一度は食品の成分表を見たことがあると思いますが、化粧品やお薬の箱にも同じように成分表があり、含有量の多いものから順番に記載されています。私は成分マニアでして、使っている基礎化粧品の成分にはこだわりがあります。
おこさまクリームは保湿力が高くしっとり感が長く続く「グリセリン」や、低刺激で少しさっぱりとした「BG」が多く含まれていて、無香料、無着色、低刺激という優秀なクリームです。
パッケージも可愛いですし、コスパがいいです!夜お風呂あがりに塗って眠ると翌日のお肌のしっとり感が全然違うので、もし保湿剤を迷われている方がいらっしゃいましたら、ぜひお試しください!(*^^)v
2.中等症の場合
中等症の症状
- 3cm以下のおでき
- 皮膚が薄くめくれて浅い傷ができている
- ごくわずかな浸出液がある
中等症の場合は、殺菌成分や抗生物質を含んだ塗り薬を使いましょう!
【第2類医薬品】オロナインH軟膏 50g
オロナインH軟膏は、殺菌効果に優れたクロルヘキシジングルコン酸塩配合の皮膚疾患・外傷治療薬です。
殺菌成分配合の軟膏が患部を覆ってケアします。(大塚製薬 製品紹介より引用)
すり傷や吹き出ものによく効きます。日々の怪我やニキビ、やけどなどいろんなトラブルにマルチに対応します。
私の場合、吹き出ものはできたばかりのものであれば1日で治りますよ(^^)/
【第2類医薬品】ドルマイシン軟膏 12g
抗生物質入りのものではドルマイシン軟膏がおすすめ。けが等の化膿予防及び治療,おでき(せつ,ちょう)に有用です。
皮膚感染症の原因となる細菌を広くカバーしています!
ドルマイシン軟膏にステロイドがプラスされた「ドルマイコーチ軟膏」という似た名前の商品がありますが、ステロイド入りのものはおすすめしませんので、購入時に気を付けてください。
股ずれにステロイド軟膏はNG!?
ステロイド軟膏は炎症を抑える効果のあるとてもいい治療薬で、日々の診療で私が最も多く処方するお薬のひとつです。
ステロイド軟膏は塗り続けると皮膚を薄く弱くするデメリットがあり、長期的/定期的に股間のような皮膚が薄いところには使いにくいです。
ステロイドは軟膏は弱いものから強いものまで5段階あり、強さに応じて使用量や試用期間が厳密に定められているため、症状に応じて適切に処方する必要があります。つまり、専門知識のない人が独自の判断で使いにくいお薬でもあります。
また、ステロイド軟膏は、皮膚の局所免疫を抑制するため、細菌やカビ(真菌)などの感染症を引き起こす可能性があります。
以上の理由で、股ずれにステロイドはおすすめしません。
3.重症の場合
- じゅくじゅくと多量の滲出液がでる(滲出液のせいで下着と肌がひっついてしまうほどの量)
- 患部が熱を持っている
- 3cm以上のおでき
- 殺菌成分や抗生物質入りの塗り薬で治療してから1週間以上経つのに改善していない
重症になってしまうと、もはや個人の力ではすぐに完治させることが難しい段階です。
重症の場合は、皮膚科で診察を受けて、適切な治療を受けましょう!
まとめ
ロードバイクによる股ずれ治療の基本は、
1.皮膚保護クリームやポジションや機材の調整などによる摩擦の軽減
2.股間を清潔に保つ
3.保湿剤、殺菌成分や抗生物質入りの塗り薬による皮膚のケア
です。
セルフ治療で治らないときや、あまりに股ずれがひどい場合は皮膚科を受診しましょう。
ぜひ参考にしていただけると嬉しいです(*^^)v