こんにちは!女医サイクリストのもえマグロです(*^^*)
前回の記事女性アスリート向け!ピルを婦人科で処方して貰うまでの流れ、料金等について解説。実際に受診してみた。の続編です。
今回はさまざまな種類があるピルの特徴についてお伝えしていこうと思います。
含まれるホルモン量や月経周期のコントロールの方法が違うのですが、アスリート目線でそれぞれのメリット・デメリットをまとめましたので参考になれば幸いです。
ホルモン量の違い
ピルは含まれるエストロゲン量に応じて、高用量~低用量のものがあります。
エストロゲン量が50μg以上→高用量
エストロゲン量が50μg→中用量
エストロゲン量が50μg以下→低用量
現在日本で処方されているピルの多くは低用量ピルです。最近では「超低用量ピル」と呼ばれるエストロゲン量がさらに少ないお薬も販売されています。
低用量ピル(約30~35µg)
メリット
不正出血が少なく、月経時期がきっちり極まってくることが多いです。
これはサイクリストにとって最大のメリットだと思います。土日にレースやイベントが多いので、土日に生理が重ならないように調整することで、パッドを汚す心配や旅先で温泉に入れないといったことがなくなります。
デメリット
下肢の静脈に血の塊ができてしまう深部静脈血栓症のリスクが超低用量よりも高いです。
(ただし、頻度として限りなく低いと思います。)
超低用量ピル(エストロゲン20µg以下)
メリット
含まれるホルモン量が少ないため、深部静脈血栓症のリスクが低いです。
休薬期間を設けずに3~6か月の間、生理がこないようにすることができます。
自転車アスリートの場合、シーズン中の4~11月頃までの間、全く生理がこないように調整することができます。
妊孕性への影響はありません。
デメリット
ごく少量の不正出血がだらだらと続き、服用開始から3か月経っても出血が続く人もいます。
個人差があるところなので服用してみなければわからないのですが、結局不正出血が止まらなくて低用量ピルに変更する人もいるようです。
また、新しい薬なので保険適用であっても高いです。窓口負担は2000円ほど。
保険適応外のピルは2500円くらいなので、「少し安いかな」くらいです。
余談ですが、超低用量ピルに避妊効果はありませんので、避妊も兼ねたい方は低用量ピルの内服が必要です。
〇相性ピル
「あいしょう」ではないですよ(笑)
ピルによっては、1相性、2相性、3相性という種類があり、1相性は、お薬が全て同じ場合のことをいいます。
種類によっては日ごとに含まれているホルモン量が異なり、ホルモン量を段階的に変えることで、より自然なホルモンバランスに近づけているものもあります。2種類に分かれているものを2相性、3種類に分かれているものを3相性といいます。
1相性のものは毎日飲む量が同じなので、ちょっとした裏技(?)を使うことができます。
一般的なものだと21日飲んで7日間休薬し、休薬期間中に出血が起こります。
ただ、その休薬期間中にどうしても出血が起こってほしくない場合だってありますよね?
その時は青玉のところ(=ホルモンが含まれていない偽薬)を飲まずに、次のシートの内服をします。1週間飲んだら飲み飛ばした青玉(偽薬)を飲みなおせば生理がきます。
2相性、3相性のものでもこういった調整はできなくはないですが、薬によって含まれているホルモン量が違うため予備のシートが必要で、その予備のシートも虫食い状に空いていき、あるホルモン量の薬だけ余るとか足りないといった状況になってしまう可能性があります。
副作用
一般的には 軽度の吐き気、頭痛、乳房の張り、軽度の出血 などの症状が現れることがあります。これらの症状はお薬に慣れると自然と良くなることがほとんどです。
わたしが実際に服用してみて感じた副作用は、 なんとなく気持ち悪い感じ と 強い眠気 でした。2日間続いて、3日目にはなくなりました。
調べた限りでは 眠気 という副作用の頻度は低いようですが、この眠気がとてつもなくて…
内服1日目にりゅーじさんとサイクリングに出掛けたのですが、走っている最中に寝落ちしそうになるくらいでした(^^;)
内服2週目に入りましたが、今のところ不正出血はありませんし、体重増加や浮腫みもありません。
飲み忘れたら?
ピルは1日1錠服用します。服用時間を決めたほうが飲み忘れも防げますし、管理しやすいです(例えば、就寝前など)。
● 1錠飲み忘れた場合:飲み忘れに気づいたときに1錠すぐ飲み、その日も通常通りに飲みます。(その日は1日2錠飲むことになります)
● 2錠以上飲み忘れた場合:本来の日付に追いつくまで、1日2錠服用します。追いついたら1日1錠に戻します。(服用を中断すると不正出血が起こってしまいます)
2日以上飲み忘れたら、かかりつけ医に電話で相談してみてください。
まとめ
アマチュアレベルであっても、女性サイクリストとして思いっきり楽しみたい!
ピルのメリットは大きいと思い、服用を決めました。この時期にしたのは4月のシーズンインまでの薬に慣れておきたいと思ったからです。
選んだ薬は 低用量ピル の 1相性 のものです。
できれば超低用量ピルが良かったのですが、不正出血がだらだらと何か月も続くのは本末転倒だし、そもそも耐えられない(笑)のと、深部静脈血栓症のリスクはあるといってもかなり低いと思ったからです。
もちろん、こまめな飲水やじっとしていないことは心がけて生活するつもりです。
1相性にしたのは前項でお伝えした、出血期間の調整ができるメリットを大きく感じたからです。
保険適応外の製品ですので、価格は2500円/月、最大処方期間は11か月です(年1回の子宮頸がん検診が必要なため)。病院によって最大処方期間は異なり、わたしの行った婦人科は半年に1回血液検査をするため、最大6か月までの処方になります。
以上、ピルの種類と特徴についてのまとめでした。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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